静寂がそこかしこに漂っている。
ふと、ふわふわしたものが目に入った。
見ると、庭の山茶花(さざんか)が開花していた。
それはとても楚々(そそ)として白かった。
その可憐な姿から、白無垢を纏った花嫁を見た気がした。鮮やかな紅葉の季節に、凜としたたたずまいで朝を迎えるのである。
ふいに思い立って、抹茶ホワイトチョコレートクッキーをつくった。一枚が大きく、甘くしっとりとやわらかいアメリカンタイプのクッキーである。
ホワイトチョコレートチャンクには、森永DARSのホワイトチョコレートひと箱分を加えた。一粒を半分に切るとちょうど良い大きさの塊(チャンク)になって使い勝手がいいのだ。使い切りできるし。
バターや砂糖、卵などを混ぜこんだクリームに抹茶入りの小麦粉類を加え混ぜると、しっとりととした深緑色が出た。さらにホワイトチョコレートチャンクを加えてざっとまとめる。
クッキー生地をこしらえたら、四等分にして平たい丸形に整え、天板の上に並べる。このとき、クッキー生地の直径が7cmになるように表面をならしてから焼成する。これは焼成後のクッキーの厚さが1~1.2cmぐらいになるようにするためで、ちょっとしたこだわりなのだ。
お気に入りの食感が作り出すには、6cmじゃあ、ダメなんです。8cmはまだやったことないけれど。もしかしたら8cmの方が美味しいかも知れない。
焼成温度はいつもより少し低くした。せっかくの美しい抹茶の色合いが、焼き色という名の茶色になってしまっては、見た目から来るおいしさが減退してしまうんだもの。
そんなことをふんふん考えながら、オーブンの中はどうなっているかなと覗いてみると、熱せられたクッキー生地は膨らんでいた。素敵な夢を溢れんばかりいっぱいに詰め込んだかのような大きさになっていた。
満足の出来上がり!
焼き上がって冷ましたものをお皿に移し替え、それでは1枚、と大口をあけて頬ばった。
クッキーは分厚く食べ応えがあり、縁あたりはサクサクしている。舌の上で溶けると同時に立ち上がる抹茶の香りと、味の茂みの奥から顔を覗かせる苦み。
抹茶、抹茶と思って、クッキーを楽しんでいると、不意にホワイトチョコレートの乳の川が現れた。そのまろやかさが口の中を流れ、やがてクッキー全体を包んで穏やかで温かみのある味わいにする。
クッキーの中央部分はしっとりとしている。このねっちり感が好きなのだ。アメリカンソフトクッキーの醍醐味である。
残りはタッパーに入れて冷蔵庫へ入れておこう。明日はもっとねっちり食感がさらに強くなるはずだ。楽しみだなあ!
少し前まで鈴虫の演奏が賑やかだったのに、今はしん、としている。
秋に白く凜々しく咲き誇る山茶花を見ていたら、
季節は巡り、小さな不安と寂しさを感じながらも、明日へと進む。
そしてその未来には、いろいろな出来事が起こって、それはそれで結構楽しいんじゃないかと。
そんなことを思ったりした。
そして、寒い!
熱いお茶を入れようと思って再び家に入った。
【ねっちり強め しっとりやわらかアメリカンクッキー・抹茶ホワイトチョコレート レシピ】
直径約9.7cm 一枚につき約74g 厚さ1~1.2cm 4枚分
【材料】
油脂:
・製菓用マーガリン 40g
・無塩バター 10g
糖類他:
・上白糖 65g
・グラニュー糖 10g
・はちみつ 5g
・塩 1g
・重曹 1g
・レモン汁 5g
卵:
・卵黄 20g(M玉約1個分)
ホワイトチョコレートチャンク:
・森永DARS白いダース(ホワイトチョコレート)1箱(約42g)
粉類:
・強力粉 90g
・製菓食品加工用抹茶粉末 7g
・森永クリープ(またはコーヒーに入れるクリーミングパウダー)10g
・ベーキングパウダー 4g
【下準備】
・粉類(強力粉、抹茶粉末、ベーキングパウダーと森永クリープ)は合わせてふるっておく
・油脂(製菓用マーガリン、無塩バター)は常温にしておく。
・天板にオーブンシートを敷いておく。
・ホワイトチョコレートは半分あるいは約1cm角にカットしておく。
【作り方】
1.ボウルに製菓用マーガリンと無塩バターを合わせてクリーム状に練り、上白糖、グラニュー糖、はちみつ、塩、重曹、レモン汁も加えてよく混ぜ合わせる。
2.卵黄を加えて混ぜ合わせる。
3.ふるっておいた粉類を2.のボウルにくわえてさっくりと混ぜ合わせる。さらにホワイトチョコレートチャンクを加えてざっと混ぜる。ベーキングパウダーが反応して効力が薄れてしまうため、生地を練らないように注意する。粉気がみえなくなったらすぐに混ぜるのをやめる。
4.ボウルにラップをして冷蔵庫に入れ、15分休ませる。
5.オーブンの予熱を180℃設定で開始。冷蔵庫からクッキー生地を取りだし、4等分にする。6.クッキー生地を手のひらで軽くのばし、直径7cmのハンバーグのような平たい丸形に整えたら天板に間隔をあけて並べ、180℃のオーブンで5分、170℃に落として10分焼く。焼きムラを防ぐため、残り時間8分程度で向きを変える。
7.焼けたらオーブンから取りだし、オーブンペーパーごと網の上に移して冷ます。
メモ:
・抹茶生地やホワイトチョコレートに焼き色を入れすぎないために、オーブンの焼成温度は立ち上がりだけ180℃で、殆どは170℃に落として焼いています。
・抹茶は予算が許す限り品質の良いものを使います。製菓・食品加工用が使い勝手がいいと思います。今回は ほんぢ園食品加工用抹茶 1号 を使用しました。
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