レースのドレスを身に纏った貴婦人の白くふっくらとした指が何気なくのびて、皿に盛られたブールドネージュをつまみぱくっと口に入れる。
歯を当てるとそれはサクッと割れて、もろく崩れ、舌の上で胡桃の実が香ばしく広がってゆくかと思えば、砂浜に寄せた波がさーっと引くかのように溶けて無くなって、一瞬、名残惜しく感じる。後引く食感。
「一粒だけじゃあ満足できないでしょう。もっとめしあがってくださいな。」と純白の雪玉が、誘いかけてくるかのようです。
ブールドネージュは、そんな上品な気分にさせてくれる焼き菓子です。