満開の乙女椿は異界へとつづく万華鏡。
見つめているとぐるぐる目眩をおこして、吸いこまれてしまいそう。
向こうの世界には、願った幸せがあるだろうか。
バターたっぷり贅沢な甘食。
といっても実はマーガリンを混ぜ込んであるから、胃に重くない仕上がりとなった。
バターケーキより軽い口当たりで、カステラのような、ビスケットのような。
オーブンを開けて焼き上がった甘食を取り出すと、濃厚なバターの香りが部屋を満たした。
甘食は富士山の形に膨れあがっている。
冷めたところで、半分に割ってみる。
ぼろぼろっと細かい屑がこぼれ落ちた。
ほおばってみると、はちみつの香りがふわーっと広がった。
空気を含んで軽い噛み応え。
バター(油脂)たっぷりだからビスケットやパンというより、バタースポンジケーキに近くなってきたと思う。
中力粉を使ってあるから薄力粉で作ったものよりも固め。
バター多めとはいえ、やはり水分を要求するから、お茶を淹れる。
冷たい空気のなかで飲む熱いお茶は染みるなあ。
ひとまず、いい気分だった。
【甘食(あましょく)バターたっぷり&はちみつ入り。リッチ生地ver. レシピ】
中力粉200g 直径7~8cm 8~9個分
材料:
粉類:
・中力粉 200g
・ベーキングパウダー 8g
・バター 40g
(今回はマーガリン30g、バター10g、バニラエッセンス、バターエッセンス、カスタードエッセンス 各0.3g)
卵液: 卵+牛乳+はちみつ=120g
・卵(L玉)1個 今回59g
・牛乳(卵と合わせて) 110g
・重曹 1g
・はちみつ 10g
・上白糖 70g
切り込み用:
サラダ油 適量
下準備:
・粉類は合わせてふるっておく。
・バターはやわらかいクリーム状にしておく。電子レンジ150wで40~50秒ほど加熱した後、ゴムべらで練るとすぐに出来上がる。
・絞り袋に金口1.3cmを入れて、セットしておく。(金口の大きさは1cm以上にする。今回は1.3cmのものを使用した)
・絞り袋は大型のコップ等、底が深い容器に入れて、あけ口を広げておくと、生地を流しこみやすい。
・天板にクッキングペーパーを敷いておく。
作り方:
1.小型のボウルに卵液を作り、そこへ上白糖を加え、砂糖を溶かしておく。
2.別のボウルに粉類を用意し、そこに卵液を加え、ゴムべらでさっくりと混ぜ合わせる。まだ粉気が残っているうちにバターを加え、よく混ぜ合わせる。艶が出たところで生地を混ぜるのを止める。
3.ボウルにラップをして生地を15分ほど休ませる。
4.オーブンの温度を220℃にセットし、予熱開始。
5.絞り袋に生地を詰め、ベーキングシートの上に直径5~6cmほどのドーム型に絞っていく。垂直に山形に絞ることで、富士山のような甘食らしい形に焼ける。焼成中に膨らむので、充分に間隔を開けて絞り出すこと。
6.オーブンの予熱が完了したのを確認してから、絞り出した甘食生地の上部中央にサラダ油を塗ったハサミかナイフで切り込みを入れる。生地の側面に油が垂れてはいけない。油がつくとその部分が焼成中に割れてしまう。予熱が完了してから切り込みを入れるのは、焼成前の生地が油を吸うのを防ぐため。
7.220℃のオーブンで10~11分、焼き色がつくまで焼く。
8.オーブンから取り出し、粗熱が取れた後、袋等に入れておく。
メモ:
・ベーキングパウダーは縦に膨らむ作用があり、重曹は横に膨らむ作用がある。
・重曹を加えると、焼き上がりが黄金色に色づく。甘食の見た目がいかにも卵たっぷり入っていそうな色をしているのは、重曹のおかげである。ベーキングパウダーだけだど、もっと白っぽい仕上がりになる。
・重曹は混ざりにくいので、水分(牛乳)に溶かしてから生地に加えるようにする。
・15分休ませた後の生地はベーキングパウダーが反応して空気を内包した状態になっている。この気泡をできるだけ潰さないように絞り袋にいれる。
・絞るときは、垂直方向に約1cmくらいの高さから絞り始め、次第に3cmほどの高さに上げてく
・ナイフは尖ったバタースプレッドナイフ、包丁、ハサミ等を使うが、先の細く鋭利な包丁がおすすめ。
・切り込みは鋭利なナイフで縦方向に狭く入れる方がいい。斬り込み幅が大きいと横に割れて高さが出なくなってしまう。深さは1cmほど。側面に油がたれないようにするとうまくいく。